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積極的平和主義はテロリズムに繋がる可能性を考える

今日はまじめな話をします。

日本人観光客も多く訪れるタイで爆弾テロがありました。




まず犠牲者の方々に哀悼の意を表します。


さて、今回のように日本人観光客も多い場所でテロが起きたという事で日本でも衝撃が走りました。

Facebook等でコメントを見てみると

「国際情勢を知って、自己防衛しないと」

というコメントを多く目にしました。

これは半分当たっていて、半分間違っていると私は思います。

まず、テロを実際に防ぐ手立てはありません。

テロというのは、経済や治安・政治に対して暴力を通して社会に一石を投じるという意味合いが大きいため、

・治安がいいと呼ばれている場所

・経済的に影響の強い、特に国際社会の反響の大きい場所・外資系企業や外国人観光客が多く訪れる場所

これらを選定して実行します。

日本人の多くは海外ツアーを使う事が多いですから、その国で有名&治安のよい観光地にいくのは当たり前。


テロ実行犯は治安のよい場所といわれる場所をわざわざ選んでテロを行おうとするので、どうしてもテロに遭う確率は高くなると言わざるを得ません。

ですから一言でいうと「テロは防げません」


これはパソコンのセキュリティと同じかもしれません。

どんなに頑丈なセキュリティを設定してもそれを破ろうとするハッカーがいれば、いつかは破られます。

まさに「いたちごっこ」なのです。


この事を考えるとテロの憎悪の根源はなんなのか?という事は私たちは考えなければならないでしょう。

タイの事を考えてみると、

タイの情勢は、ばらまき政策によって貧困層・地方からの絶大なる支持を受けたタクシン派と、
首都バンコクなどの都市部で潤う富裕・中間層の反タクシン派という構図があります。


そして何よりタイ南部ではイスラム教が広がっており、政府の勢力はタイの北部は掌握できていますが、南部は掌握できていないのが現状です。

これは昨年のクーデター前でもそうだったので政情が不安定な現状であればなおさらでしょう。

タクシン政権は強権的な政治によって、南部のイスラム教徒を迫害しました。

その憎悪は大きいと思われます。

ここで簡単にタイの情勢を説明しましたが、しかしこれは何本も絡まり続けている糸の中で一本の糸を観察したにすぎません。

タイのエイズ撲滅プロジェクトを推進され、私もその活動の一端に協力させていただいた日本人宣教師の方のお話を聞くと、憎悪の連鎖の複雑さと深刻さが知らされます。

これを解決することは簡単な事ではありません。

そして情勢を知ったからといってすぐに解決することでもありません。

これは積極的平和主義を支持しているフィリピンも同じような構図です。

ここで重要なのは信頼関係なのです。

ツイッターでも述べましたが、

東南アジア諸国には各々反政府グループが潜在的に存在している。

積極的平和主義というのはその問題を抱えた政府と繋がるという事。


しかもブッシュ政権下で対テロ戦争という名の基に反政府活動グループをテロリストと位置付けた為、反米がより先鋭化。


日本はそんな複雑な環境に自ら身を置こうとしている


確かに中国の脅威も感じる事もあるでしょう。

しかし、日本に支援を願っている東南アジア諸国の国自体も、国内で大きな問題を抱えているのです。


積極的平和主義というのは、政権側につくという事を意味しています。

しかも、これからは軍事部門としての武器供給も行うという事ですから敵である政権側に自分たちを脅かす武器を提供する国と見えてしまうわけです。


そうすると、日本はいつの日か、反政府グループ側から共通の敵と見なされてしまう可能性が出てくるでしょう。


これまで日本はODAを使い、最貧困層の個人に対して援助してきました。

ですから利潤の観点からみたら成果はほとんどないように見られますが、最貧困層からは多くの信頼を得てきました。

あとこの70年間、戦争をしなかった大国として。

ですから日本のNGOもその信頼を持って活動できた一面もあります。

しかし、信頼が一度なくなると構築することは大変難しい。

これ、私たちの周りの人間関係もそうですよね。

反政府活動は、貧困の問題から起こります。

反政府活動は最初は、知力によってなんとかしようと頑張っているのですが、あまりにも汚職・賄賂が横行している現実を見てしまうと、もう武力でしか変えられないと考えるようになるのです。

ですから反政府活動のトップにエリートが多いのはこのためです。

ですからテロは短絡的な犯行ではありません。それほど根が深いという事です。

今日本はアメリカのようなアプローチを使って平和を構築しようとしています。

でも日本国民はその東南アジア諸国のこれらの問題を背負う責任を持てる・持とうとしているのでしょうか。

今回のFacebook等のコメントを見ていると、限りなく「ノー」に近い。

そうなれば、日本の政府も自ずと国に奉仕をするように国民を誘導する政策を打ち出さなくてならなくなるでしょう。

私たちは巻き込まれる事の意味と責任、

そして海外へのアプローチの方法をこれまでの事を振り返って反省し、

未来を見つめなければいけません。


その意味、今上天皇の「深い反省」という言葉は大きいと私は思います。

今はその岐路にあるのです。


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